「桜のような僕の恋人」を読み終わりました!
泣いた!凄く泣いた!
Netflixで映像化もされているみたいなので、
そのうち観たいと思います。
【感想】
■序盤
最初は晴人の耳タブを美咲が怪我させてしまった後に、
美咲とデートというドタバタ感がとてもあって、
楽しい感じが伝わってくる内容だった。
物語が動き出しているといった感じだ。
とはいえ怪我を理由にデート誘ったり、
カメラマンしてるのは嘘だったりと、
晴人君大丈夫か!?
といった印象だった。
晴人のおっちょこちょいながらもストレートに好意を示す態度に、
美咲もちょっとずつ惹かれていって無事付き合うことに。
デートやお見舞いなど2人の時間がとても幸せな感じが伝わってきて、
これがまさか、ここまで辛い物語になろうとは・・・
■中盤
病気(ファストフォワード症候群)が発覚し、
晴人に海辺で伝えようとしたが伝えれず、
そのまま他の男と付き合った等と嘘を重ねて
晴人に忘れて貰おうとする美咲。
凄く良い子なんだけど凄く不憫というか不器用で、
読んでいて悲しくなる。
美容院で仕事をしていた美咲は、
"美"に対して凄く敏感で
日々老いていく辛さの描写が凄かった。
鏡を見たくない、白髪を隠したい、
良い化粧品を使うなど努力をしたが、
それでもどうにもならなくて、
夢も好きな人も失って悔しくて泣いて、
ここの描写だけで読んでる側としては
ほんと辛い。毎回泣く。
兄(貴司)も妹を何とか助けようと、
詐欺師の怪しい治療などに200万使ってしまったり、
痛々しさが目に余るものの、
肉親の死を前にした時には冷静になれないよなと、
納得してしまう部分もあり読んでて辛い部分だった。
美咲が姉のように慕っていた綾乃についても、
嫌いになりたくないからと遠ざけたりと、
美咲が自分から不幸に向かっている気がして、
不憫すぎる。
■終盤
いよいよ病気が進行して、老婆になってしまった美咲。
そんな中、兄(貴司)は元恋人の晴人に連絡を取り、
事実を伝え、美咲を少しでも救ってやってほしいとお願いする。
晴人がいつ事実を知ることになるのだろう、
いつ美咲を救いに現れるのだろうと思っていたが、
かなり終盤で驚き。
そこから晴人が美咲の部屋の前に何度も行って
語りかけたがどうしても姿は見せようとしない美咲。
晴人は何とか美咲に出来ることをしようと、
自分の実力が無いながらも写真展に頼み込んで、
写真を展示してもらい、美咲に観てほしいと伝える。
美咲は写真展に行き、そこには晴人と美咲がデート等をした
場所が展示されていてその風景はその時のままのような、
変わらない写真が飾ってあった。
ここの晴人がカメラマンという職業なことについても、
しっかりと回収していてその時を切り取った写真という観点から
美咲を元気付けられたのとても良かった。
そして公園で桜色のニット帽子を落とした老婆に、
ニット帽子を拾って渡す晴人。
ここ!気づかないのか!晴人!
ほんとここ悲しくて、切なくて、
逆にこのストーリーにしたことに感心してしまうほど。
後に美咲が亡くなった後に、美咲の部屋で桜色のニット帽を見つけて、
あの老婆が美咲だったことに気づく晴人。
ここも!死んだ後に気づくのか晴人!なんて辛い!
そこから同僚に励まされたり、
美咲の手紙を読んだりして
徐々に立ち直っていく晴人。
カメラマンとして美咲を忘れないためにも
歩み始める。
【キャラ】
■朝倉晴人
カメラマン。
三枚目でおっちょこちょいな不器用な感じ。
ただ気持ちは真っ直ぐで純真で
仕事そっちのけで美咲に全力で、
社会人というより男としてカッコいい。
■有明美咲
美容師。とても良い子。
だけど晴人とは違うところで不器用で、
自分で色々と抱えてしまいがち。
ファストフォワード症候群の
苦しみの描写は本当に読んでて
辛いものがある。
■有明貴司
居酒屋「有明屋」店長。
病気発覚後は美咲の辛い描写もきつかったが、
兄の事実を受けいられない描写や何かしなければといった行動が
読んでいて痛々しくて目を覆いたくなる。
とても妹想いで良い兄だけに、余計に辛い。
■吉野綾乃
化粧品会社勤務。
兄(貴司)の恋人(結婚)。
小さいころから美咲にとって姉のような存在。
病気発覚後も献身的に励ましたりしていたが、
美咲側が耐えられなくなり、嫌いに
なりたくないのを理由に遠ざけてしまった。
【最後に】
帰省時の羽田空港内の小さな書店で、
「君の膵臓を食べたい」みたいな本ないかなーと
見ていてパッケージとタイトルで購入。
「桜のような僕の恋人」
いやタイトルでもう彼女死んじゃう奴じゃん!って
思って買ったのですが、
予想以上に悲しくて切ないお話だった。
久しぶりに純粋に悲しいお話を読んだ気がする。
序盤が晴人のキャラもあり結構ドタバタ幸せ劇みたいな感じなので、
「これ実は美咲死なないでハッピーエンドになるやつなのでは?」
などと淡い期待を持って読み進めていたのですが、
中盤で裏切られました。
もう老いの描写が辛すぎる。
仕事帰りの電車内で少しずつ読んでいたのですが
毎回泣いていました。
山手線で完全に毎回泣いてる変な人になっていました。
最後の方の晴人が老婆の美咲に気づけない、
あとからニット帽で気づくという流れ、
先生(作者)やったなぁああ。
とほんと悲しくて思ってしまった。
文章自体はとても読みやすく、
且つ表現が所々凄くて感心してしまった。
また職業のカメラマン、美容師というのをフルに活用していて、
ファストフォワード症候群の老いとのシナジーが凄かった。
泣き小説としては傑作だと思いますので、
気になった方は是非!
※悲しすぎて先生(作者)の他の本読むの
怖くなってしまった(笑)
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